トドは日本の陸地で見られる最大の動物だ。アシカ科の仲間の例にもれずオスがメスの3倍ほどに成長するが、最大のものは3mを超え体重も1トンになるという。
トドの繁殖地はカムチャッカ半島やアリューシャン列島にあって、秋になると、北海道や北アメリカの西海岸にも南下する。トドの飼育で有名な小樽のおたる水族館では、かつて冬になると、入り江を仕切ったプールに飼育しているメスの声や臭いを嗅ぎつけた巨大なオスが、高い堤防や崖を乗り越えて侵入してきたそうだ。おかげでオスの捕獲は必要なかったとか。
トドは他のアシカの仲間に比べるとかなり気性が荒く、ちっぽけなトレーナーの言うこともなかなか聞いてはくれない。しかし、大食漢なのでエサには弱いのか、それなりのパフォーマンスを演じることはできるようになる。内容はトドの得意な、高い岩からのダイビングや倒立くらいだが、そもそもがたいへんな巨体だから、それくらいのパフォーマンスでも十分に迫力がある。エサにつられてパフォーマンスしながらも、トドにはヒトにはこびない振る舞いを感じ、目の当たりにする野生生物の力強さや危険な緊迫感にドキドキする。
トドに会える水族館
トドに会うなら本場、おたる水族館がオススメだ。豪快なショーが披露されているだけでなく、頭数が多く繁殖もしているので、母子の姿や、子ども同士で遊ぶ微笑ましい様子を見ることができる。粗暴ささえ感じるオスとはうってかわって、子どものトドたちは可愛く無邪気で、母親の子への愛情もこまやかだ。
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