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アシカ科(オットセイ・トド)の仲間
〈 飼育されている水族館名は、それぞれの種別ページで紹介しています。〉

アシカやオットセイさらに巨大なトドも、いずれもアシカ科という仲間に属していて、水族館では総称して「アシカ」とも言う。
アシカの仲間はおおむね犬に似ている。犬のお腹のあたりを少し太らせて、四肢をヒレに付け替え、耳を小さくすればもうアシカだ。たったそれだけのことだが、水中に入るとイルカやペンギンのように俊敏に泳ぎ、魚やイカなどを捕らえて食べることのできる海の民「海獣」となる。
アシカの仲間はしかしながら、陸上での生活を捨てたわけではない。繁殖や子育てはすべて海岸で行い、ヒレ型に進化させた脚で驚くほど素早く走り回る。
巨石がゴロゴロ転がった海岸や、脚が砂にめり込む砂浜では、彼らはあきらかにヒトよりも速く走っていた。さらに、垂直になった崖を、ヒレの力と首の力をつかって登るオタリアを見たときには、彼らが、ただの海の世界に適応しただけの「海獣」ではなく、水陸両用の「地海獣」とでも言うべき動物だと確信したものだ。

アシカやオットセイの種類は世界に14種類。それぞれとてもよく似ているが、サイズにはバリエーションがあって、アシカ科中最大のトドだとオスは体重1000kg(1トン!)にもなり、最小のガラパゴスオットセイではオスでも60kgくらい、メスだと30kgにも満たない。
オスとメスのサイズが例外なく大きく違うのも、アシカ科の仲間の特徴だ。アシカたちのオスはメスに比べると、体長で1.5倍から2倍くらい、体重では2〜3倍にも成長する。(成長してからの雌雄の差を「第二次性徴」と言う)
さらに、多くの種類のアシカたちのオスには、体型にも第二次性徴が現れる。カリフォルニアアシカやキタオットセイでは頭にコブのようなふくらみができる。オタリアやニュージーランドアシカ、オットセイの仲間たちは、胸板が厚くなりライオンのオスのようなタテガミが生え、さらにオタリアでは面相がブルドックのように潰れる。
成長したオスとメスが並んでいると、まるで別の種の動物か、あるいは親子のように感じるほどだ。

アシカ科の中でも、アシカとオットセイによってグループに分けられている。スマートな印象があり毛が短いアシカの仲間は、×××アシカと後ろにアシカが付いた名前の種とトドやオタリアで、「アシカ亜科」と分類されている。
オットセイの仲間は「オットセイ亜科」とされ、いずれも長くて密集した毛が生えているのが特徴だが、さらに、北半球にいるキタオットセイ属(1種)と、南半球にいる「ミナミオットセイ属(8種)」の仲間たちのグループに分けられる。キタオットセイ属は、アシカ亜科の方が近縁とされている。
日本の水族館では、アシカ亜科で、トド、カリフォルニアアシカ、オタリア、オーストラリアアシカの4種に、ミナミオットセイ属のミナミアフリカオットセイ、ミナミアメリカオットセイ、そしてキタオットセイと、7種類のアシカ科の仲間と会うことができる。

実は、日本にもニホンアシカという種類のアシカが住んでいたのだが近年絶滅した。
→コラム「ニホンアシカ」
科名、種名(写真)をクリックで、それぞれの解説と、飼育する水族館を紹介するページへ
ショーをするアシカの仲間
カリフォルニアアシカ
カリフォルニアアシカの写真
オタリア
オタリアの写真
トド
トドの写真

水族館では珍しいアシカの仲間
オーストラリアアシカ
オーストラリアアシカの写真
キタオットセイ
キタオットセイの写真

ミナミオットセイ属の仲間
ミナミアメリカオットセイ
ミナミアメリカオットセイの写真
ミナミアフリカオットセイ
ミナミアフリカオットセイの写真
ニホンアシカ
ニホンアシカは、日本国内で繁殖していた唯一のアシカ科の動物であり、われわれ日本人が近年になって絶滅させた最大の野生動物でもある。
ニホンアシカは日本の全土に生息していた。日本海の竹島が最大の繁殖地だったが、関東にもニホンアシカの繁殖地がたくさんあったらしく、伊豆から東京湾、銚子にかけての海にはアシカ島やアシカ根と呼ばれる場所がある。犬吠埼の犬はアシカのことで、アシカの吠える崎という意味なのだそうだ。

関東のニホンアシカは、1900年頃には、駆除や食用の目的で姿を消していった。しかし、ニホンアシカが最後に確認されたのは、今からわずか30年前の1975年のことなのだ。それは日韓で領土の主張をしあっている竹島の個体とされている。
竹島には記録に残る最盛期で3万頭〜5万頭が生息していたらしいが、日本人が油脂と皮を取るために大量に捕獲しはじめてから急速に絶滅への道をたどった。当時、竹島には竹島漁猟合資会社というアシカ猟専門の会社まであったらしい。 あまりの乱獲によってニホンアシカが急激に数を減らしたために漁猟は終了したが、その後、韓国が竹島を占拠、要塞化したことにより、保護政策もとられず絶滅に至った。
最後は、国際的な問題がニホンアシカの命運を尽きさせたとも言えるが、責任の全ては乱獲を放置した日本にあるだろう。

アシカの語源は「葦鹿(アシシカ)」つまりアシ原にいた鹿という説と、「海鹿(アマシカ)」つまり海の鹿という説があり、海洋国家である日本の象徴のような動物だった。日本最強の動物だったニホンオオカミと、日本最大の動物だったニホンアシカを絶滅に追いやったのが、いずれもつい何十年か前の出来事だったということを忘れてはならないと思う。
中村 元
アシカ科(オットセイ)の写真/しまね海洋館AQUAS
しまね海洋館AQUASに展示されているニホンアシカの剥製

ニホンアシカの剥製は、各地の博物館や動物園に展示されている。天王寺動物園の剥製はかつて飼育されていたニホンアシカだという。水族館では、しまね海洋館AQUASにメスの成獣と子どもの剥製が展示されている。