人気の水族館は地域性や信念による特別なこだわりを持っている。美ら海水族館が沖縄の海だけにこだわっているのもその一例だが、そのように巨大水族館でもなく、特別な水塊や人気のショーもないものの、展示へのこだわりによって特別なファンをつくり、それが原動力となって全国から来館者を増やしている水族館も少なからずある。
琵琶湖水系と古代湖だけにこだわった琵琶湖博物館の水族展示は、淡水水族館の中で今最も人気のある水族館だ。博物館としてのこだわりも顕著で面白い。
水族館の存続をクラゲに賭けて大ヒットし、そこから水族館リニューアルにまで大躍進したのは加茂水族館。北の大地の水族館は北海道の川と寒さと温泉にこだわって集客を15倍にした。
捕鯨基地だった長崎には、捕鯨船が連れ帰った極地ペンギンを飼育していたことで始まった長崎ペンギン水族館がある。同じく地域の基幹産業であるサケにこだわった標津サーモン科学館内にはサケ遡上の魚道が引かれ遡上を見ることができる。
沼津深海水族館も深海漁が盛んな沼津港の特色を活かし、深海生物にこだわり賑わう。もぐらんぴあ水族館が震災後にこだわったのは、三陸の伝統、南部潜りと北限の海女の潜りだ。民族学展示をすることで知名度が上がってきた。
一方、もっと尖ったよそにはない展示や運営を開発することで有名になった人気水族館もある。
館長自らショボ水と名乗る竹島水族館は、手描き解説をつくりまくり、スタッフからの情報発信を奨励したことで人気に火が付き、ほとんどお金を掛けずに集客3倍、長蛇の出来る全国区の大人気水族館となった。
その手描き解説の先駆者として、美しい切り絵の魚名板を続ける桂浜水族館は、スタッフの濃いキャラを目一杯出した抱腹絶倒SNS発信によって、ついに全国的に知られるに至った。
ショーのランキング入りもした伊勢シーパラダイスのこだわりは、もちろん柵無しふれあい展示。カワウソとの握手も発明、ついにはタツノオトシゴと握手も始めて増客が止まらない。
|