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『中村元の全国水族館ガイド112』の著者が、水族館プロデューサーならではの視点でテーマを決め、水族館や展示の魅力を紹介します。

第1回 『水塊』で水中人になろう。
沖縄美ら海水族館 [黒潮の海大水槽]
名古屋港水族館 [北館]
新江ノ島水族館 [相模湾大水槽]
マリンワールド海の中道 [うみなかキューブ]
アクアマリンふくしま [潮目の海水槽]
九十九島水族館「海きらら」 [九十九島湾大水槽]
アクアワールド・茨城大洗 [出会いの海大水槽]

春になると水族館に行きたくなるのは、水族館には『水塊』があるからです。
子どもの頃は、暖かくなると水遊びがしたくなりました。さらに夏には、海や川に飛び込む衝動が抑えられなくなります。大人になってからでも、暖かくなれば海や川が恋しくなり、ダイビングを始める人もたくさんいます。そして今は、その潜在的欲求が、水族館の『水塊』で手軽に満足できるのです。
視界いっぱいに広がる青い水塊を前に、何を見るでもなく呆然とたたずむ人のどれほど多いことか。

水中という非日常世界、水の圧倒的な存在感によるうるおいや涼しさ、その内に立体的に泳ぎ浮かぶ命の姿、それらをまとめて、私は『水塊』と表しています。
とりわけ近代水族館の巨大化した水槽には、美しく気持ちのいい『水塊』がたくさんあります。
そこで、「水族館に出かけよう」の第1回のテーマは、「水中人になれる水塊」特集。
いろんな水塊がある中で、美しい海に潜った気持ちになることのできる水塊の水槽をピックアップしてみました。
大人も子どもも、巨大な『水塊』で、ゆったり水中人になりましょう。


沖縄美ら海水族館 [黒潮の海大水槽]

水塊ナンバーワンが沖縄美ら海水族館。実は『水塊』という言葉は、初めて美ら海水族館を訪れたときに、その青い水の塊の圧倒的な存在感を表すために思いついた。そしてその中でも水塊度の高い水槽は、やっぱり「黒潮の海」大水槽。(写真↑)

一般的には、ジンベエザメがすごい、マンタがスゴイ、と言われるけれど、この水槽の前に立ったなら、誰もそんなこと気にせずに、ただボーッと水塊を眺めている。なぜなら、沖縄の日差しがダンスを踊るかのように水中深くまで差し込む青い巨大な水塊は、マンタよりもジンベイザメよりも、はるかに大きくて美しいのだから。

「黒潮の海」大水槽を楽しむアクリル窓はいくつもあるが、「水中人になれる水塊」を楽しむのであれば正面の他には、2ヶ所が見逃せない。一つは、正面から左側にある、半ドームの観覧場所。下から見上げる水塊に、マンタがかすめていくのが大迫力。階段状になっていて、座ってまどろんでいると、もしかしてここが竜宮城なのでは?と思えてくる。

もう一ヶ所は、正面から右側にあるカフェ「オーシャンブルー」。正に水中レストランの雰囲気で、食事も楽しめる。窓際の特等席に座りたいのなら、午後3時を回ってからがいいだろう。


ちなみに、この水槽の深さは水深10m。スクーバダイビング初心者だと1時間も潜っていられない深さだ。着衣のままでこの水深をいろんな方法で楽しめるのは最高だ。

車でのアクセス
美ら海水族館を訪れるのであれば、迷わずレンタカーだ。
那覇から沖縄自動車道を終点まで。そこから海沿いを30分ほど走り続けると水族館に到着する。

名護を越えたところでナビが県道84号(内陸方向)へと導こうとしたら、無視して海岸線の国道449号へ。その方が海岸線の美しさを満喫できる。

海洋博公園に着くといくつも駐車場が現れ、しかもたいてい満車になっているが、あわてることなくどんどん進もう。最後に大きな立体駐車場があり、そこが最も水族館に近い。

美ら海水族館の詳しい情報 ⇒ Web水族館:海洋博公園 沖縄美ら海水族館


名古屋港水族館 [北館]

名古屋港水族館は「北館」ができて、日本最大の水族館となった。もちろん水塊度も飛び抜けて高く、とりわけ新しくできた「北館」は、巨大水塊に囲まれた超非日常的空間だ。

その北館の中でもピカイチの水塊を楽しむことができるのが、パフォーマンスプールを下から覗く水中観察窓のあるホールだ。
パフォーマンスプールの大きさは、60m×30mに最大水深12mの世界最大級プール。これ1個だけで、前出の美ら海水族館の全ての水槽の水量が軽く入る超巨大ぶり。
水中観察窓から望むその巨大プールは、ただただ青くどこまでも広がり、海を切り取ってきたというよりも海そのものを再現したという表現が正しいほどだ。

プールにはイルカが数頭いるだけだが、このイルカたちの泳ぎ方がすごい。広く深いプールを縦横無尽に猛スピードで駆けめぐるのだ。
向かい側の青い壁に同化した小さな丸が、まっすぐこちらに向かってくると、見る見る大きくなって目の前を下から上へと通り過ぎる。超巨大な水塊の中ならではの、イルカたちの本当の泳ぎの実力だ。

水中窓のあるホールは座り心地のいいカーペットで覆われ、プールからもれる光で、美しいブルーの空気に包まれている。館内がかなり混雑している時にも、このホールは比較的空いていて、何時間もイルカと水塊に癒されながら座っていられるのもおすすめだ。

車でのアクセス
名古屋港ガーデン埠頭に位置するが、名古屋周辺の市街地は混むので、極力市街地の一般道を避けるルートがいい。
・東京・静岡方面からは、東名高速→[豊田JCT]→伊勢湾岸自動車道で[名港中央IC]を出て一般道へ。
・関西方面からは、新名神高速道→[四日市JCT]→伊勢湾岸自動車道で[名港中央IC]を出て一般道へ。
が、最も近くて混雑も避けられる。

水族館の専用駐車場はなく、ガーデン埠頭の駐車場を利用することになる。広くて混雑時には臨時駐車場もあるが、埠頭に帆船が着いたりイベントがあるととんでも混むので、埠頭のイベントをチェックしてから出かけること。

名古屋港水族館の詳しい情報 ⇒ Web水族館:名古屋港水族館


新江ノ島水族館 [相模湾大水槽]

近代水族館としては中規模の水族館で、大水槽の水量は少ないながらも、中村のプロデュースによる水族館なので『水塊』の表現にはかなりこだわっている。

特にこだわったのは、「相模湾大水槽」での、海の向かいに浮かぶ江の島の水中の再現だ。ここでは、それまでの水族館にはなかった日本人の精神文化である、海に対する畏怖の気持ちを取り入れることで、水中感を強くした。
岩陰に何者かが潜んでいるような影の部分と、水面からの明るい光、さらには観覧フロアにまで届かせた水中からの青い照明などによって、非常に立体感の強い水塊になっている。

水塊は水の量や青い色だけでなく、そこに泳ぐ生き物たちの浮遊感によっても印象づけられるが、この「相模湾大水槽」では、生き物のように形を変化し続けるイワシの群が、その主役となっている。
他の水族館の大水槽では、イワシの群は水面近くに固まって渦を描いているだけなのだが、不思議なことにこの水槽だけでは、イワシの群は水槽中央で、団子になったり瓢箪になったりドーナツになったりとめまぐるしく形を変え、時を忘れてこれを眺めている人も多い。

車でのアクセス
湘南海岸を走る国道134号線は、休日は大渋滞し抜け道もないので、平日のドライブをおすすめする。

休日にどうしても車でという場合は、朝イチでの到着を心がける。昼頃なら藤沢市内の駐車場を探して、小田急江ノ島線に乗って片瀬江ノ島駅に来る方が早い。

駐車場は周辺にいくつもある。最も近いのは水族館前の道路地下の「片瀬海岸地下駐車場」と、江の島側にある「江ノ電駐車センター」。

新江ノ島水族館の詳しい情報 ⇒ Web水族館:新江ノ島水族館


マリンワールド海の中道 [うみなかキューブ]

巨大水族館の先駆けの一つなので、大水槽の水塊度は新しい水族館に比べて低いのだが、2009年にオープンした新施設「かいじゅうアイランド」の「うみなかキューブ」の水中感がおそろしく高く、これぞ新しいタイプの『水塊』と言って過言ではない。

アザラシとアシカの泳ぐ、青一色のプールの中に、5面がアクリル張りの観覧室つまり透明なキューブが張り出している。そこまでの造りだけで新しいのだが、その透明キューブの中央を、天井から床までまた透明のこちらはチューブが通っているのだ。
観覧室は、プールからの青い反射光を受けてブルーに染まり、その真ん中をアザラシたちが泳ぎ抜けていくという光景は浮遊感もたっぷり。

子どもたちは、ただただアザラシやアシカが通り抜けるのに歓声を上げるが、大人は青く染まった未知の空間で、気持ちのいい浮遊感を楽しむことができるのだ。

車でのアクセス
海の中道へのアクセスは乗用車が最も便利。
・九州内からは、九州自動車道→[太宰府JCT]→都市高速1号線で[香椎浜ランプ]を出て、アイランドシティを経由して海の中道へ。
・下関方面からは、九州自動車道[古賀IC]→国道3号線→パークウェイ経由で海の中道へ。

抜け道のない半島なので連休などには道路も駐車場も大渋滞となる。対岸の「博多埠頭ベイサイドプレイス」か「ももちマリゾン」に駐車して、うみなか高速船でマリンワールド前までを往復するという手は使える。船と水族館のセット料金や、駐車場割引などもある。
船の情報 ⇒ 博多湾内航路

マリンワールド海の中道の詳しい情報 ⇒ Web水族館:マリンワールド海の中道


アクアマリンふくしま [潮目の海水槽]

東北では最も新しい巨大水族館で、水塊度も高い。
とりわけ「潮目の海」大水槽は、黒潮の海の水槽と親潮の海の二つの水槽が、三角形のアクリルトンネルを挟んで並んでいるという、実に個性的なつくりだ。この三角トンネルに入ると、モーセが割った海を歩く民衆が感じたに違いない『水塊』の圧迫感を感じることができる。

しかしこの水槽の水塊度は、それだけではない。水槽自体がとても明るいのだ。この水族館の特徴は、屋根が透明の巨大なガラスドームになっていることで、水槽には外光がそのまま射し込んでいるのである。

太陽光は、水槽内の生き物たちに生を与える。
黒潮の海のイワシたちは鱗をキラキラと輝かせ、カツオの群がそれを追い立てる。
親潮の海の浅場には緑の海草が自然の海のごとく繁茂し、その下には養殖ホヤが、三陸の海岸そのままにぶら下がっている。
そしてもちろん、三角トンネルから上を見上げれば、白く輝く水面が見えるのである。

車でのアクセス
福島県の水族館だが、関東方面からは東北自動車道だと考えるととんでもなく遠くなる。
・関東からの基本は常磐自動車道。[いわき勿来I.C]で出て→国道289号→国道6号→県道15号。東京からの日帰りも可能だ。
・東北各地からは、東北自動車道→[郡山JCT]→磐越自動車道→[いわきJCT]→常磐自動車道→[いわき湯本]で出て→県道14→国道6→県道66→県道26。

常磐道は交通量が少ないので、知らぬうちに速度が出てしまう。スピードに注意。

アクアマリンふくしまの詳しい情報 ⇒ Web水族館:アクアマリンふくしま


九十九島水族館「海きらら」 [九十九島湾大水槽]

2010年に大増築を行い中規模水族館の仲間入りを果たしたが、そのときにできた「九十九島湾大水槽」の『水塊』が気持ちがいい。

九十九島湾大水槽は、近年の大水槽としては浅いのだが、左右の奥行きが広く、島々の水中景観を再現するとともに、海底には砂が敷き詰められているのが特徴的だ。
さらに、何よりも特徴的なのが、水槽の上には屋根がなく、直射日光がそのまま水槽内に降り注いでいることだ。

太陽の光は水中で幾筋もの帯となり、敷き詰められた砂に反射して、水槽全体を明るく照らす。
そのバランスが、水槽の内壁に塗った青色だけによる水中感とは違って、青から緑への微妙なグラディエーションを見せ、リアルで生命力にあふれる水塊が誕生した。

この水槽の水塊の楽しみ所は3ヶ所の窓のうち2ヶ所だ。一つは比較的大きなアクリルによる最も広い場所。ここでは、前述の色のグラディエーションが楽しめ、水中ダイビングの疑似体験ができる。
次いで、かまぼこ形のアクリルを水中に張り出した場所で、目の前にやってくるイワシやサバの群の中に入っているような錯覚を憶える。

車でのアクセス
同じ長崎県からでも、長崎自動車道で一旦佐賀県に出て、西九州自動車道で佐世保に入るのが楽なルートになる。
・長崎自動車道→[武雄JCT]→西九州自動車道→[させぼ港IC]を出て、海沿いのSSKバイパスを15分ほど。

九十九島水族館「海きらら」の詳しい情報 ⇒ Web水族館:九十九島水族館「海きらら」


アクアワールド・茨城大洗 [出会いの海大水槽]

海の深淵を感じる水塊があるのが、アクアワールド大洗の「出会いの海大水槽」だ。
この水槽は、水中感の強い水塊の中では最も照度が低く、擬岩は海底にのみ配されて、内壁は全て濃い紺色に塗られている。その効果によって、水槽がどこまで続いているのか分からない奥行き感の水塊が、どーんと観客を包むのである。

最初に出会う水塊は、水槽内にカーブを描いて張り出した観覧ギャラリーで、まるで海中都市から海を眺めているような気持ちになる。

ここを回り込んで水槽の正面に出ると、そそり立つアクリルガラスから、紺碧の水塊がのしかかるかのようにそそり立つ。
水中の主役は光るイワシの群だ。普段ははるか上部の水面近くに固まっているのだが、ダイバーが水中給餌ショーを行うときには、銀色に美しく光るさまざまな形を見せてくれる。

車でのアクセス
東京からは車が便利で速い。とりわけ東京北部からなら、時間的に最も近い海辺の水族館になるだろう。
・東京方面より:常磐自動車道→[友部JCT]→北関東自動車道→[水戸大洗IC]を出て、国道51号→県道2号。
・東北方面より:常磐自動車道→[日立南太田IC]を出て、国道6号→国道293号→国道245号

駐車場はたっぷりある。

アクアワールド・茨城大洗の詳しい情報 ⇒ Web水族館:アクアワールド・茨城大洗


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※禁転載。ここに記載されている全ての写真、文章などは中村元の著作に帰属します。
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