「日本水族館立体生物図録」は、水族館で得た、癒しを、驚きを、感動を、ご家庭にそっくり持ち帰ることのできる現代の玉手箱であり、幼児から高齢者まですべての世代を超え、誰もが安価で手に入れることのできる新しいアクアミュージアムグッズです。 「日本水族館立体生物図録」は、21世紀「知のワンダーランド」計画 水族館委員会のプロデュースと監修の下、世界に誇る日本の文化であるフィギュアを誕生させた海洋堂の技術をもって実現しました。 命や魂までをも感じるほど生き生きとしたフィギュアたちは、多くの人々に持ち帰られて、水族館の空間を家庭や職場に広げます。そして彼らは、人々が水族館で得た感動を、新たな好奇心へとつなぐ、水族館の精となってくれるでしょう。 さあ、知のワンダーランドの始まりです! 販売される水族館 メガネモチノウオ Cheilinus undulatus 1/25
英名のナポレオンフィッシュが有名。成長につれ頭のコブが出てくるが、さらに老成し2mほどにもなるとコブの幅が薄くなる。その形が、ナポレオンのかぶるフランスの古い軍帽に似ているので名付けられた。和名のメガネモチノウオは「眼鏡持ちの魚」。若魚の目の後ろに眼鏡のツルのような模様があるためだ。ちょっと英名に負けているかも。
巨大だがベラの仲間。日本ではベラはあまり食べないが、ゼラチン質の多い身は中国料理では高級魚。特に分厚い唇のゼラチンが超高級食材とされる。日本では水族館で、香港や台北では高級料理店の店先水槽で、それぞれ存在感のある魚だ。 モンガラカワハギ Balistoides conspicillum 1/5
モンガラカワハギの仲間はどれも妖艶な美しさを持っているのだが、この種はその中でもとりわけ美しい。黒と白とのコンビにオレンジ色のポイントだけで、これほどまでに美しく目立つというのも見事だが、目立っていることの理由が見あたらないのが謎だ。
クチバシ状の歯以外に武器はなく、後ろ半身に申し訳程度についた小さなビレを動かし、みるからに不器用に泳ぐ。皮が厚くサンドペーパー状なのが主な防御手段で、それでも敵から追われると、岩の隙間に入り込み、背中と腹のビレを立て、つっかい棒にして体を固定する。フグ目の仲間だがフグ毒はなく、食用にしている地域もある。 トゲチョウチョウウオ Chaetodon auriga 1/5
サンゴ礁の海には、色とりどりの魚たちが集まっているが、その中でもとりわけ目立つのが、美しく優雅なチョウチョウウオの仲間たち。サンゴからサンゴへとひらひら泳ぐ姿は、まさにサンゴの花畑に舞う蝶々のよう。チョウチョウウオの仲間は日本の海だけでも50種類以上いる。
トゲチョウチョウウオは、その中でもよく見かける大型のチョウチョウウオで、水族館でも一般的。背ビレの一部が糸状に伸びているのが特徴で、顔にかかったマスク状の黒帯は、急所の眼を狙われないための擬装だ。おちょぼ口は愛らしいが、サンゴ礁のポリプなどを食べる。 スミレナガハナダイ(オス) Pseudanthias pleurotaenia 1/2
菫(すみれ)の花の名前がついた長花鯛だから、可憐で美しいことこの上ない。水族館のサンゴ礁水槽でも、小さいながらとりわけ存在感がある。この可憐なスミレナガハナダイにまとわりつく、少し地味目の橙色の魚がいたらそちらはメス。成長するとまずメスとして性成熟し、グループの中の最も大きな個体がオスに性転換をするのだ。その課程で体色が、橙色からピンク色に変わり、特徴的なすみれ色の四角模様が現れる。
スミレナガハナダイは、サンゴ礁の外縁で崖となった比較的深いところに生息するため、ダイビングで長く観察するのは不向き。水族館だからこそ楽しめる魚だ。 【解説】 中村元 ハナヒゲウツボ Rhinomuraena quaesita 1/10
鼻孔が管状に伸びて先が花のように開いているためにハナヒゲと名付けられているが、花鬚なのか鼻鬚なのかは不明。他のウツボの仲間より体が扁平していて、ひらひらと泳ぐ姿は新体操のリボン演技のようだ。
成長につれて性転換し、体色が美しく変化する。若年時は雌雄がなく全身黒色、成長するとまずオスになり、体色がコバルト色に変化するとともに、ハナヒゲと背ビレは鮮やかな黄色になる。さらに成長すると全身が黄色のメスとなるのだが、水族館でもなかなかお目にかかれない。 一つの巣穴に2匹が同居していることも多いが、つがいであるとは限らない。フィギュアはオスの状態。 マンボウ Mola mola 1/35
マンボウには尾ビレも腹ビレもない。尾ビレのように見えるのは、上下に長く突き出た背ビレと尻ビレの一部が変化した舵ビレ。つまりマンボウはお尻で繋がった背ビレと尾ビレだけで泳いでいるのだ。みるからにノロマな生き物のように思えるが、巨体を水面上にジャンプさせる姿も観察される。
成長すると3mを超える。あの不器用な泳ぎで何を食べて成長できるのか気になるが、主食はクラゲだ。捕まえやすいだろうが栄養は足りるのかますます気になる。最近の研究では、マンボウはふだん水深100〜300mあたりで生活し、深海性の甲殻類なども食べていることが分かってきた。 シロワニ(メス) Carcharias taurus 1/7
世界中の水族館で好んで展示されているサメだ。飼育下でも3mにもなる巨体に、凶暴そうな姿と見事に並んだ巨大歯が、いかにもサメのイメージに合う。ところがシロワニは、海底をゆったりと泳ぎ、底性の魚類や甲殻類を食べているサメで、飼育しやすいのだ。
シロワニのワニは因幡の白兎の「和邇」でサメを表す古い言葉。鮫の字はサメのオスの腹ビレに交接器があり交尾をするからで、フィギュアはメス。鱶(フカ)は胎内で子を養うからで、シロワニは卵胎生。子宮内で最初に孵化した子は、孵化前の弟妹を食べ、その後は母親から供給される卵子を食べて育つ。1mほどに成長してから誕生する。 オオウミウマ Hippocampus kuda 1/3
オオウミウマは大海馬、そして海馬はカイバともタツノオトシゴとも読む。タツノオトシゴの顔を横から見ると馬に似ているから海の馬というわけ。この種は暖かい海に生息し、30cm近くにまで大きく成長するため大が付いたと思われる。
中国では乾燥させて漢方薬の重要な一つ「海馬」となる。オスが腹で卵を育て子を出産をするのだが、日本では安産のお守りとして使われてきた。海馬たちには受難の乾燥だ。 医学では大脳の中で自律神経や記憶などの働きを制御する部分も海馬という。その形がタツノオトシゴに似ているためだ。 レッドテール キャットフィッシュ Phractocephalus hemiliopterus 1/20
水族館ではポピュラーなアマゾンの大型ナマズで1mを超える。キャットフィッシュ=猫魚とは英語でナマズのことで、ナマズのヒゲからネコのヒゲを連想して付けられた。つまり名前は見たまんま赤い尻尾のナマズ。通称はレッドーテールキャットと呼ばれるが、これだと赤い尾の猫になってしまう。
本来は他のアマゾンの魚たちピラルクーやピラニアなどと同じように、魚を意味するピラを付けて「ピララーラ」と現地名で呼んであげたいところ。しかしながらナマズの種類はとても多く、世界で2,500種、アマゾン流域だけで1,000種類近くいる。その全てを現地で区別しているわけではないのだ。 ピラルクー Arapaima gigas 1/40
過去には4mにもなる巨体が釣れたというアマゾン河の王者は、水族館における淡水魚の王者でもある。飼育下でも2mを超える巨体、古代魚の風貌を漂わせた鋭角的な形、輝くメタリック色の鱗、その姿のどれをとっても、見る人に圧倒的な存在感を示す。ピラルクーとは「赤い魚」という意味で、1.5mほどに成長すると、尾ビレの方から灼けた鋼のような赤い色に輝き出す。
巨大な受け口は、水面で空気呼吸をするためにも使われるが、その時にバコン!と響く鈍い音は、身震いするほどの迫力だ。獲物は魚だけでなく河面を泳ぐ動物をも狙い、落ちた赤ん坊が呑み込まれたという話も伝わる。 マダコ Octopus vulgaris 1/7
骨も外骨格も貝殻さえもないタコは、地球上の知的動物の常識からとりわけ外れた存在だ。クチバシと眼以外、体の硬い部分をすっかり無くした体を、伸縮自在に変形させ、瞬時に周りの模様を体表に写し取ることで身を隠す。狭い隙間も自由に行き来し、いざというときには煙幕で雲隠れ。など、まるで忍者のようだ。さらに、無脊椎動物随一の高い知能で、吸盤のついた8本の腕を、ヒトの指より器用に使いこなす。X-MENか!
しかしそのタコを、ぶつ切りにし、茹でダコにし、干ダコにし、たこ焼きにまでして食べる日本人もまた、地球上でかなり常識外れな存在かもしれない。 カノコイセエビ Panulirus longipes 1/7
黒潮流域の水族館のイセエビの水槽には、たいていカノコイセエビがまじって入っている。いわゆるイセエビに比べて味が落ちるとのことで値が安いため、漁師が気前よく水族館にくれるからだ。しかし姿形はイセエビそのもので、結婚式のときくらいしかイセエビを食べない庶民には見分けがつかない。
鹿子模様の小さな斑点が特徴だが、分かりやすいのは第一触角。触角が地図のJR記号のようにまだら模様になっている。尚、第一触角は一番長い触角のことではなく、その内側から出ている短い触角のこと。イセエビの本場で安い宴会をすると、舟盛りの上でカノコイセエビに出会うことがある。 バンドウイルカ Tursiops truncatus 1/60
イルカショーで最も活躍しているイルカ。知性が高くジャンプなどの身体能力が高いせいだが、元来が好奇心が強く遊び好きで、ヒトとの知的な交流も好んでいるようだ。自然界にあっても、船に併走してジャンプを披露し、溺れかけているヒトを助けたといった逸話も多い。比較的小型の鯨類ながら、音波を発してソナーにしたり会話をするエコーロケーションによって社会性が強く、身体能力にも優れているため、大型の危険ザメも集団で撃退してしまう。
※和名はハンドウイルカだが、水族館では慣習的にバンドウイルカと呼んでいるため、本図鑑ではバンドウとした。 セイウチ Odobenus rosmarus divergens 1/55
生息地によって体格に差があるが、ベーリング海周囲のセイウチは大きく、オスだと体長3.5m、体重1.5tにもなる。牙の生えた姿が威風堂々とし、強く知的で社会性が高く、さらに猟の獲物としての重要性から、エスキモー社会では崇拝の対象とされてきた。
エサは冷たい海の底には無数にいる二枚貝や甲殻類などだが、牙を使って掘り起こすのではない。水族館では口を水鉄砲にして勢いよく水を飛ばすので、水を噴いて泥を飛ばしているらしい。セイウチはとても人なつこい動物で、水槽のなかからヒトと遊ぼうとする。特に子どもの頃は飼育係に甘え、体を押しつけてきて離れない。 ボーナスフィギュア
コウテイペンギンの親子のうち、どれか1羽がもれなく付いてきます。
ジョイント式になっているので、集めれば大コロニーが完成します。 コウテイペンギン Aptenodytes forsteri 1/40
ペンギン18種中最大のペンギンで、身長は120cm体重は30kgを超える。南極のイメージが強いペンギンだが、実際に南極で繁殖するのは2種類だけで、氷上での繁殖となるとコウテイペンギンただ1種のみだ。繁殖地は海から数十kmから100kmも離れた内陸で、さらに南極の冬という、地球上で最も寒さの厳しい場所と季節に子育てが行われる。卵を産んだメスはオスに卵を預け、海まで歩きエサを捕りに行く。足の上に卵を抱いたオスはマイナス60度のブリザードの下で、120日間もの絶食を続ける。生まれてくるヒナは、他のペンギンにはない愛らしい顔つきだ。
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