(写真:八景島ドルフィンファンタジーのシロイルカ)
シロイルカ(ベルーガ)は北極海からやってきた大型のイルカ。真っ白で背ビレがない体に、大きくて丸い頭部など、他のイルカの姿とはずいぶん違う。なによりも、自由自在に曲げることのできる首が特徴的で、柔らかくてよく動く口と共に、鯨類にしては珍しく「表情」があるように感じる。
シロイルカを飼育している水族館は、国内で4館しかない。
日本で初めてシロイルカを公開したのは、鴨川シーワールドで1976年のこと。それから長い間、鴨川シーワールドのみでの飼育だったが、その後展示は、全国で4館に広がり、4館それぞれにシロイルカの特徴的なエピソードがある。
鴨川シーワールドは、シロイルカ飼育の先駆者であり開発者だ。30年も前に日本初の飼育と展示が始められた。同時に世界初の水中パフォーマンスも開始している。
八景島シーパラダイスでは、ショースタジアムでのシロイルカパフォーマンスが始められた。ドルフィンファンタジーで対面できるシロイルカに人気が急上昇。
島根県立しまね海洋館AQUASは、関東以外で初めてシロイルカを飼育した水族館。世界で初めて、バブルリングをシロイルカのパフォーマンスとして完成させた。
名古屋港水族館は、シロイルカの展示は後発ながら、2005年に日本で初めてシロイルカの繁殖に成功。2007年にはさらに2頭の赤ちゃんが誕生し、最初と最後の2頭は順調に育っている。
ヒトを驚かせて楽しむイルカ
ヒトに興味をもって窓をのぞき込んでくるイルカたちは、いずれも何かを語りかけているようにみえる。彼らには超音波によって会話をするエコーロケーションの能力があるので、きっと本当に語りかけているのだろう。
残念なことに、ヒトはそのような能力を持ち合わせてはおらず、イルカたちが近寄ってきてただ嬉しくてはしゃいでいるだけだ。そんなわれわれを見て、イルカたちは、ヒトというのはなんて間抜けな動物なんだ・・・・と思っているのかもしれない。
ヒトの反応があまりにも鈍いからなのか、八景島シーパラダイスのシロイルカには、突然ヒトを威嚇する者まで現れた。いつもと変わらぬ笑ったような顔で近寄ってきて、嬉しくなってこちらも顔を寄せると、その瞬間グワッと口を開いて驚かせるのだ。
獅子舞の頭のごとく、大きな頭に大きく裂けた口だから、それはもう恐いのなんの。大の大人でも思わずのけぞるほどの迫力で、ちびっ子の中には泣いてしまう子もいる。
シロイルカは、観覧者のびっくり慌てた様子を見ると、満足げに去っていき、こっちの反応がシロイルカ的に満足のいかないものだと、何度もスゴイ顔をしてみせる。
この驚かせ遊び、彼らにとっては、ヒトとという別種の動物とコミュニケーションを取るという満足感を得られる、そうとうに面白い遊びなのだろう。