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みんなが知りたい 水族館の疑問50

 著者・写真 中村 元
 出版 ソフトバンククリエイティブ サイエンス・アイ新書 2007年7月刊 208ページ(オールカラー)・1,000円(税込)

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イルカは楽しんでショーをしているの?大きい魚は小さい魚を食べないの?入館料はなぜ高いの?動物のことから水族館の経営のことまで、3万人のWEBアンケートから、知っていそうで知らない水族館の疑問を拾い出し、水族館プロデューサー中村元が科学的視点で答えます。
著者独特の、くだけマジメでテンポのいい文体と、1ページ毎に付けられたカラー写真ページによって、大人から子どもまで、水族館への興味がますます深まります。
著者の既刊『水族館の通になる』や『全国水族館ガイド2006-2007』と読めば、あなたはもう水族館のエキスパート!いつでも自分の水族館をつくることができるようになるでしょう。
みんなが知りたい水族館の疑問50|水族館の本/WEB水族館

目次

はじめに (→立ち読みができます
第1章 水族館はなぜあるのか
01 水族館とはどんな施設か
02 水族館はどうやってつくるのか
03 水族館はなぜ観光地に多いのか
04 入館料はなぜ高井のか
05 水族館は米国の方が進んでいるのか
06 生態展示にはどういうものがあるのか
07 解説はどうやって書かれているのか
08 うちの子はつまらない生き物ばかり見るけど、ナゼ?
[コラム] サンゴ礁のスター達
第2章 水族館のスター達
09 大きさの違う魚がいっしょで大丈夫か
10 大きい魚は小さい魚を食べないのか
11 水槽の魚はどうやって決めるのか
12 なぜホッキョクグマがいるのか
13 海獣の範囲はどこまでなのか
14 イルカショーはなぜあるのか
15 イルカやアシカだけがショーをするのは
16 イルカにどうやって芸を教えるのか
17 トレーナーはシャチになぜ襲われない
18 イルカはショーがストレスにならないか
19 人喰いザメのいる水族館はあるか
20 クラゲを飼っている水族館が少ないのはなぜか
21 夜の水族館はどうなっているのか
22 飼育係は夜、なにをしているのか
23 海獣はなぜ愛想がいいのか
24 シロイルカに脅されたが、機嫌が悪かったのか
25 深海生物は飼育できるのか
26 地球を食べる生物とはなにか
27 どうして海の水槽が多いのか
28 アマゾンの水槽がどれも半水面なのは
29 日本の川に必ず滝があるのはなぜ
30 今後水族館で見られる生き物にはどんなものがあるか
31 水族館で上手な写真を撮るには
[コラム] かわいいエビやカニ

第3章 飼育係の使命
32 飼育係はどんな仕事をしているのか
33 水族館の展示内容は誰が考える
34 飼育係は動物をどうやって見分けるのか
35 エサ代はどのくらいかかるのか
36 飼育係になるにはどうすればいいのか
37 水族館にも獣医さんはいるのか
38 獣医さんはどんな仕事をしているのか
39 イルカの人工尾ビレとは
[コラム] 不思議な生き物

第4章 水族館を解剖する
40 水族館が暗いのはなぜ
41 巨大なガラスが割れないかと心配
42 巨大なガラスをどうやって入れるのか
43 強化ガラスの水槽は今はないのか
44 水槽はどうやってつくるの
45 水中の景観はどのようにつくるの
46 波(造波装置)はなぜ必要なのか
47 海水はどこから持ってくるのか
48 水槽の裏はどうなっているのか
49 水槽の水はどうやって維持するのか
50 突然魚が死んだらどうするのか
はじめに

ヒトはなぜ水族館に向かうのか?
それは、水中世界に憧れるからである。特定の動物を見るのでも、パフォーマンスを楽しむのでもなく、ただ視覚を水で満たしたいと考えて水族館を訪れる人の、どれほど多いことか。
水の粒子がつくる少し煙ったような青色に、キラキラと光るせせらぎや波の影に、魚たちが飛び回る三次元の世界に、あるいは近年の水族館の圧倒的な水塊に、ヒトはワクワクと昂揚し、うっとりと安らぎを得、本人だけにしか感じえない、新たな世界に浸ることができるのだ。
そして、そんな世界で出会う、なだらかな曲線を描いた地球の仲間たちとの交流は、ペットと交わす愛情や、動物園で会う動物への好奇心とはどこか違う、まるで古くからの友に出会ったような感覚を芽生えさせてくれるのである。

日本に水族館はいったいいくつあるのだろう?
この3年くらいの間に、国内の水族館だけで110館を訪れた。ただし、それらが全て正確に水族館であったわけではない。動物園の中の、水族館と名前のついていない施設であったり、博物館の中の小さなコーナーであったり、さらにビニールハウスに水槽だけの施設だってあった。
2005年、2006年と続けて著した『決定版!!全国水族館ガイド』と『全国水族館ガイド2006-2007』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)に掲載した施設にも、筆者が勝手に水族館としたものも多い。
実のところ、本当に水族館と呼べる、あるいは自称している施設は、筆者が訪れたうちでは103館。ちなみに、奈良県と鳥取県に水族館はなく、徳島県と佐賀県にも正しい意味での水族館は存在しない。
しかし、水族館好きにとっては、名前はなんだってよいのだ。それが動物園や博物館であろうと、建物さえない水槽だけの施設であろうと、そこに「水中の世界がある」というだけで満足できる。そんな意味で、中村元式カウント法での水族館の数は全国110館を超える。訪れた後に閉鎖となった水族館もいくつかあるが、まだ訪れていなくて確かに存在する水族館もすでに見つけてある。

水族館はヒトにとって何なのか?
今回、本書の依頼を受けて少々迷った。なぜなら水族館のことを一般にわかりやすく紹介することは、2006年に著した『水族館の通になる』(祥伝社新書)でほとんどやったつもりだったし、さらに今年、ときを同じくして水族館の全てをマニアックに紹介する本の監修も始まっていたからである。
しかし、担当の石嶋氏よりいただいた読者の方々からのアンケートを読んで心を決めた。いままで水族館がヒトの社会に存在する理由や水族館が果たしている役割を、深く追求して書いたことはなかったのだが、それに関わるような質問がいくつか目についたからだ。
筆者は現在、水族館プロデューサーとして新江ノ島水族館の展示監督を務めるかたわら、東京コミュニケーションアート専門学校の教育顧問として「水族館の展示と運営のデザイン」という講義も持っている。また、観光再生のプロデュースでも各地に関わっている。
だから、「水族館の展示がどのように観覧者を惹きつけるのか?」「水族館がヒトや地域社会に何をもたらすのか?」といったことはお話ししたくてしょうがなかったのである。もちろん聞いてもらえるなら……であるが。
そこで、アンケートでいただいた数々の疑問の中から、質問数の多いものとは別に、水族館の社会的役割に関連するような疑問を選び、そこからさらに、多くのみなさんにも興味を持っていただけるであろう話題もピックアップさせていただいた。

本書によって、小さくても大きくても、古くても新しくても、水族館は水族館であり、その存在は、人の暮らしになくてはならないものだとわかっていただけるだろう。
いくつかの章については、『水族館の通になる』と重なる部分もあるが、内容は極力重ならないように、あるものは新たな取材によりさらに詳しく、あるものは切り口を変えて著したつもりだ。両方読んでいただいた方には、きっと明日にでも自分の水族館を計画できる気持ちになっていただけることと思う。

中村 元


※禁転載。ここに記載されている全ての写真、文章などは中村元の著作に帰属します。