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水族館に奇跡が起きる7つのヒミツ
〜水族館プロデューサー中村元の集客倍増の仕掛け〜

著者:やきそばかおる 編集:稲垣 章
出版:Cllar出版 発売:丸善出版株式会社
2013年8月刊/256ページ/1,800円

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『水族館に奇跡が起きる7つのヒミツ』は、水族館プロデューサー中村元によってリニューアルされた水族館が、次々と奇跡的な集客を上げている事実に、ライターやきそばかおると編集者稲垣章が興味を持ち、そのヒミツを探るべく中村元および関係者への長時間に渡るインタビューを行って書き上げられました。
弱点を武器に変えるトリックスター中村元の人間性や考え方などが魅力的に描かれ、日本で唯一人の水族館プロデューサー伝記でもあり、集客や商品開発のヒントが満載のビジネス本としても面白く読めます。
水族館に奇跡が起きる7つのヒミツ|水族館の本/WEB水族館

目次

プロローグ

北海道の山の奥の水族館に年間30万人が押し寄せ、サンシャイン水族館も変貌を遂げた。今水族館で何かが起こっている! その背後には、一人の水族館プロデューサーの存在があった。
第1章 水族館プロデューサーという仕事

・世界でただ一人の水族館プロデューサー 中村 元
・動物好きではない
・水族館は何のためにあるのか?
・水族館プロデューサーの仕事内容
・不可能を可能にしてこそ真のプロデューサー
コラム:気づくと上を見ている〜サンシャイン水族館
第2章 集客15倍アップの7つのヒミツ
ヒミツ① なぜ、まるで水中にいるような感覚になれる?
・水槽を作るのではなく「水塊」を作っている
・沖縄の美ら海水族館のジンベエザメ
・クラゲ人気も旭山動物園の奇跡の復活も水塊のおかげ
・「緑」ではダメ。「青」でなくてはならない
ヒミツ② なぜ、大人、特にカップルが多い?
・水族館のターゲットは子どもにあらず
・子どもはラッコに興味なし
・水族館はデートスポットとして優秀
ヒミツ③ なぜ、弱点を克服できるのか?
・多くの水族館の中から選んでもらうためのコンセプト
・弱点が世界初を生む
・弱点から生まれた新しい『水塊』
ヒミツ④ なぜ、奇想天外な展示が実現できる?
・北海道の山奥に"日本初"が生まれるその瞬間
・滝つぼ水槽……お金がないなら知恵を出す
・イトウの大水槽……時には誤算が魅力に!
・北の大地の四季水槽……寒さの弱点を武器に変える
・ワークショップが生んだ世界初
・ワークショップは「不可能」を「可能」にする
・最後は「自分だからできる」という想い
コラム:人々を魅了する強力な引力〜山の水族館
ヒミツ⑤ なぜ、お客さんの満足度が高いのか?
・満足させたいなら、まず知ることから
・いきなりハイライトを持ってくる
・構想時でのカスタマーズ起点を徹底
・自由通路でお客さんも自由に
・バリアフリーのスポットに行きたいわけじゃない
・好奇心を刺激する解説
・短いからこそ伝わる解説
・すごいのはトレーナーではなくてアシカ
ヒミツ⑥ なぜ、地域まで活気付くのか?
・まちの魅力を水族館から発信する
・魔法の温泉水
・まちの話題を水族館で展示する
・凍る日を待ちわびる人々
・水族館の周囲への波及効果
・水族館を核に地元が動いた
・地域に人を呼び込むメディア効果
・客層を拡げる新たな水族館活用
ヒミツ⑦ なぜ、頻繁にメディアに取り上げられる?
・プロモーションなしでは、誰も来ない
・中途半端なリニューアルでは人は来ない
・中村流、メディアを呼び寄せる方法
・メディアを呼び寄せる秘策
・中村は個人のメディアも駆使
・クラゲアイスが水族館をすくった!
・初の全国ネット進出
・メディアと視聴者が好きなことを取り入れたアピールを
コラム:自分流の五感で感じる水族館〜新江ノ島水族館
第3章 進化の掟……捨てて創造する

・進化系水族館
・弱点が多い方が進化しやすい
・勝利の女神は常識を覆した水族館に微笑む
・進化に終着地はない
中村元による「あとがき」

 保育園からの帰り道、踏切のところで母親が言った「ハジメ、レールのとこに足入れたらあかんよ」。「なんで?」「足が抜けやんようになって電車にひかれるがな!」。帰宅後こっそり踏切に戻ると、そっとレールの間に足を入れてみた。そのとたん信号機が鳴りだした。びっくりして慌てたら本当に足が抜けなくなった。でも、はきものを残して足だけを抜くことができた。もちろん私は生きている。
 この小さな検証で、気づいたことが2つある。まず一つは、母親の言う危険は確かに存在したということ。そしてもう一つは、危険はあったけれど電車にひかれはしなかったということだ。

 子どもの頃の私は「なんで?」が口癖で、なんでも自分で確かめないことには信じられない子だった。そして今も「なんで?」が口癖だ。
 私は、水族館も魚も特別に好きなわけではない。しかし、水族館プロデューサーという仕事は心から楽しんでやらせてもらっている。それは、水族館の常識に「なんで?」の種がいくらでも転がっているからだ。
 水族館は子どもの教育のための施設。……なんで?
 水族館は科学系博物館。……なんで?
 利用者のほとんどが求めていないことを、常識としてしている商品や業界は少なくない。そしてその「なんで?」な常識は、それを提供している人々によって作られている。
 だから、私の水族館プロデューサーの仕事は、新しいものをつくることではなく、利用者のための新しい常識をつくる仕事だ。スタッフと共に利用者のことを考え、古い常識を覆し新しい常識による展示を開発していく。ご想像のとおりその道は平坦ではないがとりわけ険しいわけでもない。

 本書の企画をいただいた時、正直なところ心躍った。自分もたいした男になったものだと錯覚してしまったのだ。しかし、著者のやきそばかおるさんと編集の稲垣章さんのインタビューに答えているうちに、自分がたいした男ではないことが分かってきた。保育園児だった頃の「なんで?」をくり返して生きてきただけではないか。出版の直前となって読むほどに、ただただ恥ずかしいばかりである。
 ただ、自らが関わった水族館はどれも、自分とクライアントがつくった子どもだと思っている。その子どもたちが成し遂げた進化を、読者のみなさんに少しでも知っていただくことができるのであれば、私の恥ずかしさなどなんのことはない、水族館プロデューサーとしての本望である。
 本書がみなさんのためになんらかのヒントにもならなかったとしても、我が子である水族館にはぜひ足をお運びいただければと思う。サンシャイン水族館、おんねゆ北の大地の水族館(山の水族館)、新江ノ島水族館、鳥羽水族館、いずれも、みなさんの心になにかを伝える力を持った進化系水族館であると、それだけは自信を持ってお勧めする次第である。


※禁転載。ここに記載されている全ての写真、文章などは中村元の著作に帰属します。
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