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寓話水族館

未来を変える19の物語

 著者 中村 元
 出版 長崎出版 2003年11月刊 164ページ・1,470円(税込)

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あなたの心の奥底に眠っている河童を、今一度、目覚めさせてあげよう!
物質文明を追い求めることで失われた、人本来の生き方や日本人が大切にしてきた世界観を、もう一度思い出して欲しいと、中村がちょっとブラックな19の寓話でささやきかけます。
寓話集+エッセイで構成してあって、子どもから大人まで楽しめます。
動物たちがつくる物語の世界で、今まであたりまえのように感じていた「常識」という殻を脱ぎ去り、あなたの心を自由に遊ばせてみてください。科学技術と経済万能の社会で忘れかけていた、人として生きていく上での、本当に大切なことを思い出していただけるでしょう。
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『残酷な食事』 中村 元

二人のラッコが、テレビでアマゾンの特集を見ていました。
川を流れてきた動物の死体に、たくさんのピラニアが群がっています。みるみるうちに動物は白骨化してしまいました。
女の子のラッコが、両手で目をおおいながら言います。
「きゃー!なんて獰猛な魚なの。それに見てよ、あの残酷な食べ方。私たち、アマゾンに住んでいなくてよかったわね。」

次に紹介されたのは、大蛇アナコンダが川辺に水を飲みに来たカワウソを食べるシーンでした。するするっと地面を這い寄ってきたアナコンダが目にもとまらぬスピードで、愛らしいカワウソに襲いかかります。
ヘビに体をぐるぐる巻きに絞められたカワウソは、ひとたまりもなくぴくぴくと息絶えます。ヘビはそれを頭から丸飲みするのでした。
「ひゃー!こっちの方が残酷だよ。ぼくらの仲間が、ヘビみたいな気持ちの悪い奴に丸飲みにされるなんて!とても見ちゃいられない。なんて残酷な食事なんだ」
今度は男の子のラッコが、目を見開いて叫びました。

番組が終わったので、ラッコたちは食事をすることにしました。
今日は美味しそうなカニが捕れたようです。カニはラッコたちの大好物。
「私はね、カニに鼻を挟まれるのが嫌だから、まずハサミをもいじゃうのよ。」
「ぼくはね、お腹の上から逃げだそうとするから、まず足をもいじゃうよ」
ラッコたちのお腹の上で、ハサミをもがれたカニと、足をもがれたカニは、まだ生きたまま、食べられるのを待っています。
「さっきのテレビ、残酷だったね」
「うん、ピラニアもヘビも大嫌いよ。」
ラッコたちは、残酷な食事の話しに夢中になりながら、哀れなカニに食らいついたのでした。
「いただきま~す」


※禁転載。ここに記載されている全ての写真、文章などは中村元の著作に帰属します。