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Plan・Do・See「はたらくのアイデア」
水族館プロデューサー『長所で勝負しない。弱点をいかに武器にするか』
にっぽんのマーケター2017年7月
マーケターの企み「
中村元さん、水族館プロデューサー
」
文春オンライン2017年7月
中村元の『水族館哲学』から紹介します
モーニングショー「聞きトリ」2017年7月11日
水族館プロデューサー斬新アイデア
マリンガーデン、リニューアル物語
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サンシャイン水族館
天空のオアシスで、空飛ぶアシカと水塊に会う。
※筆者中村元がリニューアルの展示プロデュースをした、超オススメの水族館です。
青空をバックに頭上をいかにも楽しそうに泳ぐオタリア。水族館の屋外展示の常識を破る涼感と潤いある展示は、アシカたちにとっても憩いの空間となっている。
空飛ぶアシカ
『天空のオアシス』となったサンシャイン水族館こそ、都市型水族館の新しい形を実現した進化系水族館である。32年間の『サンシャイン国際水族館』時代を2010年に終え、2011年8月、人々に「こんな水族館が欲しかった!」と言わしめる展示を創造し、華々しくグランドオープンした。
『天空のオアシス』とは、心も体も乾ききった現代人とりわけ都会人が求める潤いや癒し感を、ビルの上とは思えないほどに実現する水族館をめざし、同時に、地球が地球上に住む全ての生き物たちと共有すべきオアシスであることを示す水族館でありたいという思いで、筆者が展示プロデュースの指針としたコンセプトである。
その『天空のオアシス』を、もっとも端的に現しているのが、上の写真「サンシャインアクアリング」を含むアシカたちの広場だ。人々の頭上を、はしゃいだように泳ぐオタリアたちは、まるで空を飛んでいるようにも見える。自然の海の水中で、アシカたちがダイバーを見下ろしながら好奇心満々で近づいてくる光景が、地上10階の屋上によみがえった。
この展示をはじめ、砂浜のアシカの展示、柵のない近距離で行われるアシカショーなど、今まで水族館や動物園では脇役でしかなかったアシカの仲間が、ここでは堂々の主役となった。
この広場では、知らず知らずのうちに、ヒトが多くの生き物たちとオアシス地球を共有していることを認識するはずだ。これが天空のオアシスを標榜する新生サンシャイン水族館にとっての最大の存在意義である。
アシカショーはぐるりと360度から観覧、手が触れるくらい近い。
都心を忘れる『水塊』の連続
水族館展示のメインとなる屋内は、2階(10階11階)に分かれ、1階(10階)に入ったとたん、涼感と潤いにあふれる青い海の世界に包まれる。
まず最初に出迎えてくれる水槽は、生きた造礁サンゴによるサンゴ礁水槽だ。沖縄の海さながらに育つサンゴ礁の間を舞うサンゴ礁魚類たち、海底には輝く白砂。一瞬にしてここが東京のど真ん中であることを忘れる。
底面の白砂はサンシャイン水族館の特徴の一つでもある。サンシャイン(=陽光)を現すとともに、視覚的なリアリティーを演出する輝く白砂は、大水槽「サンシャインラグーン水槽」や「アシカたちの砂浜」でも美しく輝く。
「サンシャインラグーン水槽」は、この水族館のフラッグシップ水槽として開発された。水量は240トンと小型であるにもかかわらず、展示のさまざまな工夫によってどこまでも広がるかのように見え、まるで南国の海に潜っているかのように錯覚する。
この他にも、クラゲトンネルをはじめとする、幻想的な展示のクラゲ空間や、生態や行動を美しい水塊の中に再現した、趣向を凝らした展示など、1階全てが巨大な『水塊』となって、私たちを包んでくれる。
尚、この階には、旧水族館の人気者、ラッコやマンボウもいる。
サンシャインラグーン水槽。どこまでも続く青色と輝く白砂が美しい巨大な水塊。
サンゴ礁水槽。海水の確保が難しい条件で驚異の飼育技術力に感嘆。
コブダイがイワシの群をけちらす。
海底鍾乳洞にヤギが美しく花開く。
クラゲホールでは幻想体験ができる。
青と緑の世界
屋内の2階(11階)は、水の青に植物の緑が加わった淡水の「水塊」ゾーンだ。
旧館時代には、淡水魚類や水辺の陸生生物の多さが際だった水族館だったが、新しいサンシャイン水族館でもその特徴はなくしてはいない。変わったのは、大人の観覧者を意識した展示方法である。
水中の立体感が強調された水槽が多く、水草や水辺の植栽など生きた植物が、みずみずしい緑で迎えてくれる。
旧館ではなかった日本の淡水展示も増えた。日本の川展示では初めての湧水池を再現した水槽は、階下で最初に出迎えてくれたサンゴ礁水槽と肩を並べる明るい水槽で、屋内展示の最後を飾る。
巨大なピラルクやレッドテールキャットはどこにいったのか?と心配される向きもあろうが、アマゾンの巨大魚たちはその巨体にふさわしい屋上の大水槽に移され、見応え抜群の展示に生まれ変わった。
水草の緑が瑞々しいアフリカ水槽。
水槽外の演出にも凝っている。
アマゾンの巨大魚たちは、以前より迫力がある。ピラルクも大きいが、レッドテールキャットの大きさはきわめつけ。
氷の下の青い世界
氷の下の世界を、バイカルアザラシとともに実感できる。
2階の展示での特筆すべきオススメは、バイカルアザラシの展示だ。昼は陸上に上がることのないバイカルアザラシの性質を見切り、水中展示に徹した。
さらに、冬のバイカル湖の厚さ1mもの氷の下で活動する、バイカルアザラシの生態を一目で分かってもらえるように、水面に氷の擬氷を浮かべているのだ。半透明の擬氷は日本初の美しい展示だが、その氷を通して届く青い光がまた幻想的だ。
アザラシたちも心なしか余裕の顔で、観客の顔をのぞき込んでくる。
サンシャイン水族館は筆者中村元を展示プロデューサーとしてリニューアルした水族館であるため、いくぶん贔屓目も入った記事になっているかもしれないのだが、それでもこの水族館の本当の魅力を語り尽くせていないはずだ。水族館好きも、そうでない方々も、ぜひ訪れてその新しさと非日常空間を体感していただきたい。
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TEL
03-3989-3466
住所
東京都豊島区東池袋3
サンシャインシティ・ワールドインポートマートビル屋上(10階)
URL
http://www.sunshinecity.co.jp/
開館時間
夏季期間(4月1日~10月31日)10:00~20:00
冬季期間(11月1日~3月31日)10:00~18:00
※2011年8月4日~8月31日は10:00~21:00
※最終入場は終了30分前
休館日
なし
入館料
大人1800円、小人(小中学生)900円、幼児(4才以上)600円、シニア(65才以上)1500円
年間パスポート:大人4000円、小人2000円、幼児1500円、シニア3000円
交通
電車:
JRほか池袋駅東口から徒歩10分(または地下鉄東池袋駅6、7番出口から徒歩5分)。
車:
首都高池袋線東池袋出口から地下駐車場直結。
駐車場
あり
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魚の目情報
大人が満足できる癒し空間に生まれ変わった上に、夏季は夜の8時まで(8月中は9時まで)営業。さらにアクアリングのある緑化された屋上ではビールやカクテルも出しているので、仕事帰りにふらりと出かけ、アフターファイブを楽しんでいただきたい。近所の方は、飲食の割引特典もある年パスの購入がオススメ。お弁当や赤ちゃんの散歩など公園よりも安全で気持ちのいい場所として使えるだろう。
※禁転載。ここに記載されている全ての写真、文章などは中村元の著作に帰属します。